2007年 12月 25日
今日から、Christmas holidaysが始まります。 そして、27日のケニア大統領選挙を迎えるまでお休みです。 でも、休みに救急患者はつきものです。 お正月や、クリスマスに患者が押し寄せるのはどこも一緒みたい、、、 選挙活動で多くの人が命を落としているケニア大統領選挙。 ダダーブは平和なので関係ないと思っていたら、銃創患者が2人も運ばれてきた。 でも、これはソマリア国内から。大統領選挙とは無関係。 なにも、クリスマスに撃ち合わなくても良いのに、、、なんて思っても、 ムスリムなので関係ないかも、、 右胸部を後ろから前へ貫通する銃創。そして、皮下気腫、、、 幸い、緊張性血気胸にはなっていない様子。もちろん、後ろと前に風穴があるので 大丈夫なんだろうけども、、、なんて人ごとのように思っていたら、 救急医だからと、コンサルトされてしまった。 自分の専門性を問われているというなんとなくこちらで初めての経験、そして緊張、、 "脱気は?"、"ドレナージは?"はとついつい考えてしまう。 救急医の血が騒ぐのであろうか?しかし、自分が緊張性救急医になってはいけない。 よくよく、話を聞くと、撃たれたのは昨日の事らしい。 少なくとも12時間は経っている。気腫も頸部より上部には達していない。 銃弾は見事に肋骨の間をすり抜けている。聴診上は全く呼吸音は聞こえず、 胸部の上がりも認めない、、、vitalも安定している。 どうも、完全虚脱しているようだ。 虚脱する事によって、あるいは虚脱した肺を血餅が覆っている事によって、 リークがないだけなのかもしれない。 下手に、ドレーナージをかけて肺を拡げるのは、レントゲンも撮れないここでは あまりにも危険だし、結核の胸膜癒着なんかも多そうだし、 第一、ドレナージによってmassiveなリークを起こしたら、吸引器はここにはない。 苦手な、外傷。今まで、避けて通って来た道。 胸部外傷はその中でも、特に難しい。 良い思い出は微塵もない。 ガリッサまでは2時間から3時間。その間心配なのは緊張性気胸だけなら、 前と後ろに穴が空いているので、大丈夫だろうとの事で返答。 ガリッサまでの悪路でリークがでない事を祈って、救急車は出発した。 宿舎にある手術室の前で待機する救急車。 表のストレッチャーに寝ているのが例の銃創患者です。 なにも、ほったらかしにしているのではなく、 モニターもサチレーションもないので、涼しいところで管理するとこうなります。
by asaitei
| 2007-12-25 16:03
| Dadaab
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アバウト
現病歴:
大阪出身の救急専門医。ふとした事がきっかけで、長崎で熱帯医学にイニシエーションされる。その後、アフリカへと赴き、難民医療に従事。臨床そのものよりも公衆衛生の重要性を再確認し、現在、オランダ王立熱帯研究所留学中。
救急医人生からの脱線からもう2年が経過中、、、 カテゴリ
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